カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら

本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

Kaipro 西川(公認会計士)

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※本内容は執筆時点(23年6月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

日タイの居住者の判定方法

ご質問の要約

タイ・日本それぞれの居住者となるか否かは、それぞれの国に年間180日以上滞在するかどうかで判断することで良いでしょうか?

カイプロ専門家の回答

タイにおいては、暦年中に180日以上タイに滞在している場合、タイ居住者となります。

一方日本においては、居住者か否かは総合的に判断します。(住民票、銀行などの登録住所、住居、職業、資産の所在、(特に生計を一にする)親族の居住状況、国籍など)

これにより、日本・タイの双方で居住者となる場合もありますが、タイにおいては国外所得は同年中の持込みがなければ非課税のため、持込がなければ、「日本居住者、タイ非居住者」と同じような取扱いになります。

(参考)日本の居住者判断については、以下のような推定規定があります。(以下抜粋)

  • 国外において一年以上居住することが通常必要な職業がある場合は非居住者と推定する。

通常の赴任者については上記に該当し日本の非居住者の扱いに通常なりますが、役員については判断が分かれると考えられます。

タイ居住者、日本非居住者の場合

ご質問の要約

本社とタイでそれぞれ役員であり、タイに常駐(タイ居住者、日本非居住者)の者がいます。各国での納税はどのような形で行いますでしょうか?

カイプロ専門家の回答

先ず前提として、役員報酬は役員という職務の対価のため、日タイ租税条約に基づき報酬を支払う法人の所在国で先ずそれぞれ課税されます。例えばタイ常駐の役員であっても、日本の役員報酬分は日本で先ず課税されます。

そのうえで、以下の点がポイントになります。
・源泉徴収税率
・確定申告は必要か
・各国での確定申告にどこまで含めるか(国外の所得を含めるか)

以下それぞれ解説します。なおその他の所得はないものとします。

【源泉徴収税率】
タイ居住者の場合、タイ側では通常通りの累進課税の税率で源泉徴収を行います。
一方、日本側では非居住者の税率である20.42%で源泉徴収を行います。

【確定申告は必要か】
タイ居住者の場合、タイ側では通常通りの確定申告を行います。
一方日本側では、日本の会社が支払う非居住者への役員報酬は源泉徴収により納税が完結する取扱い(源泉分離課税)のため、確定申告は不要です。

【各国での確定申告にどこまで含めるか 】
タイ居住者の場合、「タイ源泉所得」 および「国外源泉所得のうちタイへ持ち込んだもの」 が課税対象となり、これらを合算して確定申告を行います。※
一方日本側では、非居住者については「国外源泉所得」は非課税のため、タイの所得を含める必要はありません。

タイでの処理(居住者)日本での処理(非居住者)
支払い時累進税率で源泉徴収し、PND1で申告納付20.42%で源泉徴収し、申告納付
確定申告時以下を合算し申告。

・タイの役員報酬
・日本の役員報酬のタイへ持ち込んだ分(持ち込まなければタイ側は非課税)
確定申告不要

※従前、タイ居住者の国外源泉所得については、その所得を得た同年にタイに持ち込んだ場合に課税対象となっていましたが、2024年1月より、その所得を得た年を問わず、国外で得た所得をタイに持ち込んだ場合には個人所得税の課税対象となりました。

日本居住者、タイ非居住者の場合

ご質問の要約

本社とタイでそれぞれ役員であり、日本に常駐(日本居住者、タイ非居住者)の者がいます。各国での納税はどのような形で行いますでしょうか?

カイプロ専門家の回答

以下のポイントそれぞれについて解説します。なおその他の所得はないものとします。

・源泉徴収税率
・確定申告は必要か
・各国での確定申告にどこまで含めるか(国外の所得を含めるか)

【源泉徴収税率】
日本居住者の場合、日本側では通常通りの金額で源泉徴収を行います。
一方、タイ側では非居住者の税率である15%で源泉徴収を行います。

【確定申告は必要か】
日本居住者の場合、日本側では通常通りの確定申告を行います。
一方タイ側でも、非居住者への役員報酬であっても最終的に確定申告が必要です。

【各国での確定申告にどこまで含めるか 】
日本居住者の場合、日本では全世界の所得に対して課税される(全世界所得課税)ため、「日本源泉所得(日本の役員報酬) 、「タイ源泉所得」(タイの役員報酬)の両者を合算して確定申告を行います。

(この場合、タイの役員報酬については日本タイ双方で課税され二重課税となりますが、この解消のため、日本の確定申告において外国税額控除が適用できます。)

一方タイ側では、非居住者については「国外源泉所得」は非課税のため、日本の所得を含める必要はありません。

タイでの処理(非居住者)日本での処理(居住者)
支払い時15%で源泉徴収し、PND1で申告納付通常の金額で源泉徴収し、申告納付
確定申告時タイの役員報酬分について確定申告以下を合算し申告。

・日本の役員報酬
・タイの役員報酬

二重課税となる分は外国税額控除を適用可能。

以上となります。

カイプロでは、月5,500THBで会計士・弁護士・社労士など複数の専門家に相談可能な顧問サービス「カイプロ」を提供しています。(詳細はこちら

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