カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら

本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

回答者:J Glocal Accounting 坂田(タイ税務・BOI専門家)
Kaipro 西川(公認会計士)

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※本内容は執筆時点(23年3月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

Credit Note、Debit Noteの概要

ご質問の要約

Debit note、Credit noteとはどのような書類でしょうか?日本では海外取引に使用されるイメージなのですが、タイでは国内取引にも使用されるものでしょうか?

カイプロ専門家の回答

タイの税法上の定義としては、Tax Invoiceを発行する取引について、その後、商品違い、数量違い、価格違いなどが発生した際にVATを含め精算をするために売り手から発行される書類です。

Debit Note:価格違いなどで売上・売上VATを増加させる書類
Credit Note:返品などで売上・売上VATを減少させる書類

歳入法典第82/9、82/10条にD/N、C/Nの発行ルールが記載されています。https://www.rd.go.th/english/37732.html#section829

VATを増加・減少させる書類ですので、タイ国内でもVATの金額に変更が必要な際はD/NやC/Nは作成されます。

VATを含まない形での発行は不可

ご質問の要約

VATを増減させない形でDebit Note、Credit Noteを発行することは可能ですか?なお相手先はタイ国内企業です。

カイプロ専門家の回答

Debit Note、Credit Noteはタイ税法上で明確に定義されている書類のため、タイ国内企業同士の場合、VATを増減させない形で発行をすることはできません。

C/N、D/Nは売上側が発行する書類

ご質問の要約

これまで顧客へのCredit Note発行で対応していた取引がありますが、逆に顧客からDebit Noteを発行してもらうことで対応することは可能ですか?

カイプロ専門家の回答

Debit Note、Credit Noteは過去の取引を修正するために売上側が発行する書類のため、顧客(仕入れ側)が発行することはありません。

発行事由は限定されている

ご質問の要約

取引先からの協力金要請に対して、Credit Note発行により対応することは可能でしょうか?

カイプロ専門家の回答

タイの税法上、Debit Note、Credit Noteは発行可能な事由が限定されています。特にCredit Noteについては、発行により納税するVAT額が減少するため、法定事由以外で発行してしまうと、税務調査の際に指摘・罰金の対象となります。

歳入法典第82/10条にクレジットノートが発行できる条件が記載されています。https://www.rd.go.th/english/37732.html#section8210

細則については1999年1月21日国税通達Por 80/2542に記載があります(タイ語のみ)。https://www.rd.go.th/3574.html

カイプロ注:主なCredit Note、Debit Noteの発行事由

  • 受注内容と異なる誤った出荷(品違い、単価違い)
  • 不良品出荷
  • クレーム補償等の支払義務に基づく減額
  • 返品・交換
  • サービス提供契約における不履行

協力金は法定事由に含まれないため、協力金名目でCredit Noteを発行することはできません。協力金の場合、顧客側からVATを含まない形でInvoiceを発行する等が一般的です。

不良品出荷の精算方法

ご質問の要約

不良品出荷はCredit Noteの発行事由に入っていますが、当社では顧客側からInvoiceを受領して処理しています。これは問題ありませんか?

カイプロ専門家の回答

タイの税法上、Debit Note、Credit Noteは発行可能な事由が限定されています。特にCredit NoteについNG品について返品をする場合はC/N発行が原則ですが、返品費用が高い等の理由で返品せずに金銭の精算のみをする場合、顧客側からInvoice(Tax invoiceではなくVATは含まれない)を受領し精算する場合もあります。

リベート、増産値引き等の精算方法

ご質問の要約

販売数量が増加したことによる値引きを事後的に行うためにCredit Noteを発行することは可能でしょうか?

カイプロ専門家の回答

規定量購入での単価引き下げについては、通常、単価誤りの扱いでCredit Noteを発行する実務があります。

その際、対象取引全体の分を一部の取引に対してのCredit Note発行で処理してしまうと、その取引が赤字取引となってしまい税務上問題があるため、対象の各取引ごとにCredit Noteを発行する形になります。

海外取引におけるデビットノート等の用語との使い分け

ご質問の要約

弊社では日本人給与のタイ法人負担について、本社からのデビットノートに基づき支払を行っております。デビットノート、クレジットノートは発行事由が限定されているとのことですが、海外取引は関係ないということでしょうか?

カイプロ専門家の回答

タイのVAT法におけるDebit Note、Credit Noteの定義は前述の通りですが、これらの用語は、国際取引においてこれ以外の意味合いでも使用されており、使用者によって意図する意味合いが異なっているケースも多いです。

経理実務の場合、物の売買や役務提供などはインボイス(請求書)という用語を使い、それ以外の立替金請求書などはデビットノートという用語を用いる場合もあります。あるいは、インボイスもデビットノートも明確に区分けせず請求書の意味合いで使用されるケースもあります。また貿易取引においてはまた別の意味合いをそれぞれ持っています。

今回のケースでは、本社側は、「物品代金以外で日本側から請求をする」というイメージで使用されているかと思います。

タイのVATが発生しない取引、特に書類発行者がタイ法人でない場合には、このような取引でデビットノートやクレジットノートという書類を発行しても特段問題ありません。

以上となります。

カイプロでは、月5,500THBで会計士・弁護士・社労士など複数の専門家に相談可能な顧問サービス「カイプロ」を提供しています。(詳細はこちら

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