カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら)
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本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。
回答者:J Glocal Accounting 坂田(タイ税務・BOI専門家)
※本内容は執筆時点(22年7月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。
固定資産廃棄ルールの概要
ご質問の要約
固定資産(事務用PC)の廃棄を検討していますが、スタッフより「そのまま廃棄する事は出来ず、必ず販売をする必要がある(社内、社外の誰でも良く、いくらで販売しても良い。)」と言われました。
これはどのようなルールに基づくものでしょうか?
カイプロ専門家の回答
資産を廃棄する場合は30日前までに歳入局への通知をし、会計監査人による廃棄証明を作成のうえ廃棄を行うというのが税務上のルールになります。このプロセスを踏まずに廃棄する場合、固定資産除却損(既に償却が終わっている場合は簿価1THB)については損金算入ができません。
また、損金算入のための上記手続きの有無に関わらず、中古販売が可能なものであれば「販売していれば得られたであろう収益」の7%についてみなしVATの納付手続きをPP30上行って頂く必要があります。※
固定資産については盗難、紛失などで販売できないケースもあるため、「必ず販売しなければならない」というルールはありません。しかし、上記の廃棄手続きやみなしVATの納付もありますため、スタッフの方は「販売をする必要がある」という説明をされているものかと思います。
※みなしVAT納付手続では、販売先からVATを預かっていないが自社の負担(PL費用計上)で納税する。VAT申告時に収益として計算することから、最終的に法人税確定申告(PND50)とVAT申告書(PP30)上の売上に差が出るため、その差額の管理表を作成(TAX reconciliation)をし、歳入局へ説明できる状態としておくのが望ましい。
社内処理のみで固定資産廃棄をする方法
ご質問の要約
会社PCの廃棄を予定していますが、固定資産廃棄ルールが煩雑であるためスタッフより廃棄でなく売却を提案されています(売却であれば廃棄ルールの対象とならない)。
しかし、会社PCを売却する場合には復元できない形でのデータ削除をする必要があるという問題があります。実務上採れる方法は他に何かありませんでしょうか?
カイプロ専門家の回答
税法上求められる廃棄手続き踏まない方法として、
- 固定資産を廃棄のうえ、売ったとみなして売上VATの納付。
- また、固定資産除却損を損金不算入経費で処理
すれば税務上の処理は問題ありません。
本来は税法上に則った廃棄手続きが必要ですが、この要件は除却損の損金算入要件ですので、除却損を加算処理(自己否認)する前提であれば、税法上の煩雑な手続きを踏まず、また売却をするでもなく単に廃棄を行うことも可能です 。
この際にハードディスクを物理的に破壊すればご記載のデータ削除の問題は対応可能かと存じます。
現物のない固定資産の除却処理
ご質問の要約
固定資産実査の結果、備忘価額1THBで帳簿に残っているが現物が見つからないものがあります。これを帳簿上消す(除却)のはどのような進め方になりますか?
カイプロ専門家の回答
前述の「社内処理のみで固定資産廃棄をする方法」と似た処理になります。
- 除却に関する社内書類を作成(現物実査の結果、固定資産台帳上の〇〇の除却手続きを〇月〇日付で行う、といった内容)
- 該当資産を帳簿から落とし、除却損を損金不算入経費で処理
- スクラップ価値など売却価値がある場合、売却価値の7%のみなしVATを納付
固定資産販売時の価格の考え方
ご質問の要約
償却済みで簿価1THBの固定資産(機械装置)を国外グループ会社へ売却します。売却価格はどのように判断すればよいでしょうか。
カイプロ専門家の回答
税法上、まず公正市場価格での取引を行なうこととされています。例えばもし当該機械が多数オンラインなどで取引されていれば、公正市場価格を参照して売価を決定します。(市場価格よりも低い価格で販売した場合、税務調査等で指摘を受ける可能性があります)
ただし、今回のように中古機械であるなど、他に同等の機械の市場が存在しない場合、直近の法定監査を経た監査報告上の簿価を公正市場価格の代わりに使用することを認められるとされています。
以上となります。
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