カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら)
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本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。
回答者:BM Accounting 長澤(社会保険労務士、米国公認会計士(inactive))
※本内容は執筆時点(23年2月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。
再雇用の方法と留意点
ご質問の要約
定年年齢を迎えるスタッフがいますが、定年後も継続雇用する予定です。
この場合、どのような雇用形態が適切でしょうか。また留意点があれば教えてください。
カイプロ専門家の回答
定年後の継続雇用の場合、一般的には1年などの有期雇用契約を1年ごとに契約をするケースが多くなっています。
留意点は以下が挙げられます。
(1)元の雇用契約の延長と見做されるリスク
口答のみで契約をする場合など、定年後の契約が元の雇用契約の延長とみなされた場合、元の雇用契約の賃金と同額以上を支払う必要があります。
そのため、定年後の有期雇用契約については別途契約書面を用意いただき、雇用条件を明記する必要があります。
(2)無期雇用契約と見做されるリスク
また、有期雇用契約を常態的に延長する場合には無期雇用契約とみなされる可能性があります。この場合には契約終了時に適切な理由がない場合に不当解雇とされる可能性が考えられます。
これを避けるためには自動更新などは避け、また実態としても1年ごとに面談や通知などを経ての延長とし、あくまでも1年契約を状況により継続している状態とする必要がございます。
再雇用時の給与の考え方
ご質問の要約
定年後、有期雇用契約にて再雇用を行う場合、その賃金について何か法律上の規定はありますか。(例:最低賃金)
また、法律ではない一般的な給与水準(正社員時の何割等)あれば教えてください。
カイプロ専門家の回答
法律では退職後に有期雇用契約を行う場合の賃金について特段規定はありません。通常同様、最低賃金以上の支給であれば法律上は問題ありません。
一般的な水準としては、会社都合でその従業員の方に残ってもらいたい場合、元の賃金と同額またはそれ以上の賃金を払うケースが多くなっています。
一方、ご本人が就労継続を希望する場合、一定程度(例えば2-3割など)賃金を下げて雇用契約を締結している場合もみられます。
雇用条件の考え方
ご質問の要約
複数人と再雇用契約をする場合で、人により雇用条件が異なる場合、労働法の観点で問題になることは無いでしょうか。
カイプロ専門家の回答
再雇用の雇用条件については、個別契約であれば原則として人によって差をつけることも可能です。
ただし、以下の点については留意が必要です。
- 就業規則の内容と異なる場合にはその旨明確にする
- 本人と合意をしても労働法の最低基準を下回ることは出来ない(例えば時間外勤務の割増率1.5倍を本人と合意して1倍とするなどは出来ない、年次有給休暇の付与日数を1年勤務以降年間6日のところ2日とする、などは出来ない)
退職金の考え方
ご質問の要約
再雇用(1年間の有期雇用、毎期更新を判断)の場合、退職金はどのような扱いになりますか。
カイプロ専門家の回答
定年後再雇用は一般的に特例有期雇用契約(臨時的業務)には該当しないため、退職金(法定の解雇補償金)の支払いが必要となります。
この場合、定年退職時に1回、有期雇用契約終了時に1回の計2回の支払いとなります。なお、有期雇用契約を延長する場合は、延長後の契約終了時に通算の再雇用期間に応じた支払いとなります(1年契約を更新し計2年で終了あれば、延長終了時に2年分を支払う)。
原則は上記ですが、ご本人と同意できれば、定年時点では支払いはせず、再雇用後の退職時に「定年前の期間からの通算期間」に応じて解雇補償金を支払うことも可能です。
ただし、再雇用期間中に懲戒解雇となり解雇補償金なしで解雇となった場合、(同意があれば法的には不要ですが)本来は定年時点で解雇補償金を支払うこととなっていたとしてその分だけ請求を受けることも考えられます。可能であれば、再雇用時にこの点について雇用契約書等で明確化しておくことも選択肢となります。
以上となります。
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