カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら)
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本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。
回答者:BM Accounting 長澤(社会保険労務士、米国公認会計士(inactive))
※本内容は執筆時点(23年1月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。
月の残業時間の制限
ご質問の要約
タイにおいて、月の残業時間の制限はありますか?
カイプロ専門家の回答
タイの労働者保護法26 条および省令により、時間外労働および休日労働の合計は1週間に36時間が上限となります。
残業時間の管理単位
ご質問の要約
残業時間の単位(5分単位、15分単位など)について、タイ労働法上、何か定めはありますでしょうか。
カイプロ専門家の回答
時間単位の特例はタイではなく、1分単位での管理が原則となります。社内ルールで四捨五入や切り捨てを導入しているケースは見られますが、本来はタイでは従業員有利となる切り上げ以外の端数処理は認められていません。
残業手当のベースとなる時給の計算方法
ご質問の要約
残業手当(1.5倍、2.0倍など)の計算上、基準となる時給はどのように計算するのでしょうか。
カイプロ専門家の回答
タイにおいて、月給者の日給は、月給を30日で割って計算します。
従って、残業手当のベースとなる時給は、「賃金(月額)÷30日÷所定労働時間」で計算することが一般的です。
ここで、「賃金」の範囲に何を含めるか(基本給のみ、または基本給および手当)については、以下記事をご参照ください。
関連記事:残業代等のベースとなる「賃金」の範囲
https://kaipro.link/articles/salary-range-in-thailand/
月給者の休日残業手当は2倍でなく1倍
ご質問の要約
休日労働の割増賃金は、営業時間内は時給の2倍、時間外は3倍と理解していますが、社内処理では月給者については休日でも営業時間内は1倍の金額支給となっています。これはどのような背景でしょうか?
カイプロ専門家の回答
月給者の場合、ご記載の通り休日の営業時間内は通常の賃金の1倍、時間外は3倍の割増賃金となります。
これは、月給者の月給には既に休日分の賃金が含まれている(1倍部分は月給に含まれて既に支給されている)という考え方になります。一方、営業時間外分は元の1倍部分もまだ支給されていないと考えるため、文言通り3倍の割増賃金となります。
なお日給制の場合については、文言通り休日の営業時間内は時給の2倍、時間外は3倍の割増賃金となります。
残業手当が不要となる条件(週48時間以内の場合)
ご質問の要約
一定の場合に、時間外手当なしで1日8時間を超えて労働させることができると聞きましたが、どのような場合でしょうか?
カイプロ専門家の回答
原則として、1日8時間を超える労働については時間外手当の支払いが必要です。
その例外として、「週の労働時間が48時間を超えない範囲で1日の労働時間を柔軟にすることについて従業員の同意を得る場合」に限り、労働時間が1日8時間を超えても週48時間以内に収まる場合に時間外手当の支払いが不要となります。
残業手当が不要となる条件(管理職の場合)
ご質問の要約
タイにおいて、管理職へ残業代を支払わないこととできる条件をご教示ください。
カイプロ専門家の回答
タイでも管理職に対して残業代・休日出勤手当を不支給とすることは可能です。
その際、以下の条件を満たす必要があります。
1.「管理職のため残業代・休日出勤手当を支給しない」旨の雇用契約書・辞令等への明記
2.人事権の付与(実態含む)
2.については、労働者保護法において、管理職は「雇用者の代理として雇用、賞与の授与または解雇を行う権限を有する従業員」とされており、採用や昇給・賞与決定などの人事権の有無が管理職の判断基準となっていることから、実態として人事権の付与が必要となります。
労働判例でも、①管理職であることが雇用契約書で明記されていない場合や、②明記がある場合でも人事権の実態が無いなどの場合に、残業代の支払いの判決が出ている場合があるため、留意が必要です。
以上となります。
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