カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら

本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

回答者:TNY Legal 永田(弁護士・弁理士)

永田弁護士の写真

※本内容は執筆時点(23年4月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

法定の退職金(解雇補償金)は不要

ご質問の要約

自主退職、自己都合退職の場合、退職金の支払いは不要でしょうか。

カイプロ専門家の回答

こちらの「退職金」が、労働者保護法上の「解雇補償金」(同法118条)を意図されているのであれば、自主退職の場合には支払いは不要です。

タイの労働者保護法上、会社が従業員を解雇する場合には懲戒解雇の場合を除き解雇補償金の支払いが必要となります。解雇ではなく従業員が自ら退職する場合には、解雇補償金を支払う必要はありません。

別途、解雇補償金の他に貴社就業規則などで日本でいう「退職金」を規定されているのであれば、その規定に従い支払いを行う必要があります。

※ただし事業所移転の際には、一定の条件で自主退職の場合にも解雇補償金(特別解雇補償金)の支払いが必要な場合があります。詳細は以下記事をご参照ください。

参考記事:事業所移転時の特別解雇補償金のQ&A
https://kaipro.link/articles/severance-pay-in-thailand/

繰り越された有給休暇の買い取りが必要

ご質問の要約

自己都合退職の場合、退職金ではない項目で支払う義務があるものはございますでしょうか。

カイプロ専門家の回答

貴社の就業規則において有給休暇の次年度への繰り越しを定めている場合、自己都合退職に伴いその繰越分の有給休暇について賃金を支払う必要があります(労働者保護法67条2項)。

参考記事:有給休暇の繰越し/買取りのQ&A
https://kaipro.link/articles/carry-forward-and-pay-out-of-unused-annual-leave-in-thailand/

その他就業規則において、自主退職の場合でも支給対象となるものがあれば支給する必要があります。

その他の追加的な支払いの慣例は特になし

ご質問の要約

義務ではないが支払うことが慣例となっているものはございますでしょうか。

カイプロ専門家の回答

自主退職に際して支払うことが一般的な慣例になっているものは特にないと考えます。もっとも貴社において独自にそのような慣例があれば、それに従い支給を行う必要があると考えます。

※カイプロ注:長期間勤務された方や一定の役職者の方が自己都合退職される場合に退職金を支払うケースは見受けられます。

労働裁判等のリスクを低減するための留意点

ご質問の要約

自己都合退職時に関してその他留意点があれば教えてください。

カイプロ専門家の回答

従業員ご自身が退職届を出されている場合、将来、会社から解雇されたなどとして解雇補償金の請求をしてくる可能性は低いと考えます。ただ提出済みの退職届について、会社による解雇ではなく自主退職であることが明確にわかる内容になっているかは念のためご確認ください。

また今後、何等かの理由で労働裁判の申立てなどをしてくる可能性は残ることから、当該従業員へ注意喚起を行ったことがあればその記録や、雇用契約書、退職届などの書類は引き続き保管頂くのが良いと思います。

以上となります。

カイプロでは、月5,500THBで会計士・弁護士・社労士など複数の専門家に相談可能な顧問サービス「カイプロ」を提供しています。(詳細はこちら

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