カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら

本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

回答者: BM Accounting 長澤(社会保険労務士、米国公認会計士(inactive))
TNY Legal 永田(弁護士・弁理士)

長澤さん写真
永田弁護士の写真

※本内容は執筆時点(23年8月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

許認可・ライセンスの引継ぎ

ご質問の要約

23年2月の民商法改正により吸収合併が認められましたが、吸収合併の際に吸収する側(存続会社)が有していた許認可(FBL、FBC、IBC、TISO、IPOなど)は存続会社に引き継がれる理解で良いでしょうか。また、これ以外で引き継げる許認可は何かありますか?

また、吸収される側(消滅会社)が有していた許認可(FBL、FBC、IBC、TISO、IPOなど)も存続会社に引き継ぐことができますか?また、これ以外で消滅会社から引き継ぐことができる許認可には何かありますか?

カイプロ専門家の回答

【存続会社について】

ご認識の通り、存続会社については、許認可についても基本的に承継されることになります。

ただし、存続会社が取得しているライセンス(特にBOI関連のライセンス)の内容や条件によっては、合併による重大な組織変更があることを理由に、 担当管轄庁への事前または事後の通知が必要となる場合があるため、注意が必要です。

したがって、貴社が保有するライセンスの内容や条件を確認しておくことを推奨いたします。

【消滅会社について】

1.FBL、FBCについて
外国人事業員会の担当官に確認したところ、FBLやFBCは合併の場合には外国人事業委員会の許可のもと、承継が可能であるとの回答を得ています。

他方で、FBCは、BOI(タイ投資委員会)やIEAT(タイ工業団地公社)など特定の法令に基づき承認または推進されるプロジェクトに付随して付与されるものであり、後述のようにBOIやIEATの場合、各管轄庁の事前の承認を得る必要があります。FBCの承継にあたっては、これら管轄庁の事前の承認も必要となる場合があるため注意が必要です。

⑵  IBC、TISO、IPOについて
また、IBC、TISO、IPOについて、これらはBOIの管轄下にあり、その承継にあたっては、投資促進法第56条の適用を受けます。同条は「BOIの承継を希望する場合には合併または事業譲渡の日から3か月以内の事前申請を行い、投資委員会の許可を受けなければならない」としており、これらのライセンスについては、BOIの事前の承認をうけた場合に限り、承継が認められます。

⑶  その他引継ぎ可能な許認可
IEATの許認可については、IEATへ事前の申請を行えば、許認可の承継が可能であるとIEATの担当官から回答を得ています。

他方、特定の法律に基づくライセンス(運送業ライセンスなど)や特定品の輸入ライセンス(FDA関連)の承継について、DBDの担当官からは、一般的に合併の場合は名義の変更を行うことでこれらのライセンスを承継することが可能であるが、ライセンスの内容や取り扱い品目によって承継の可否が異なるとの回答を得ています。

したがって、これらのライセンスの承継の可否にあたっては、貴社が有するライセンスをチェックしたうえ、ライセンスの発行元の官公庁にも確認することが確実かと思われます。

従業員同意および解雇補償金の取扱い

ご質問の要約

吸収合併において、契約は継承されるかと思いますが、従業員契約について、従業員代表との包括的同意は可能ですか。あるいは個別に全従業員からの同意取り付けが必要でしょうか。

不同意従業員は、自己都合退職あるいは会社都合対象のいずれになるのでしょうか。またその場合の解雇補償金の取扱いはどのようになりますか。

カイプロ専門家の回答

【従業員との同意の方法】
雇用条件の不利益変更の場合には、全従業員の2/3を超える労働組合等がある場合にはその組合との合意が全従業員に適用となります。

しかし本ケースでは、吸収合併により消滅会社では雇用主が変更されることになりますが、雇用主の変更は労働者保護法において従業員の個別同意が必要とされている事由に該当するため、組合等との合意ではなく従業員からの個別の同意が必要となります。

なお存続企業においては雇用主の変更がないため同意は不要となります。

【不同意の場合の取扱い】
合併等での雇用主変更にあたり従業員が同意をせず退職する場合、会社都合の解雇として解雇補償金の支払いが必要な取扱いとなっています。

※雇用条件の変更に不同意の場合に必ずしも退職となるわけではなく、不同意だが合併後の会社に引き続き雇用される場合、不同意の従業員については従前の雇用条件が適用される(会社内に複数の雇用条件が存在する。いわゆるダブルスタンダードの状態。)となるケースもあります。

以上となります。

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