カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら)
本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。
回答者: TNY Legal 永田(弁護士・弁理士)
J Glocal Accounting 坂田(タイ税務・BOI専門家)
※本内容は執筆時点(23年8月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。
卸売業・小売業の諸規制の概要
ご質問の要約
当社はBOIの100%外資企業です。今般、一部製品を委託生産とし、完成品を購入のうえ販売することとしました。この点、弊社スタッフより資本金の追加が必要と聞きました。このような商社機能を有する場合の規制について、概要を伺えますでしょうか。なお当社の資本金は1億5000万バーツです。
カイプロ専門家の回答
【外国人事業法および民商法典の観点】
外国人事業法は、外国企業が「各店舗の最低資本金が1億バーツ未満の卸売業」(別表リスト3(15))を営むためには、外国人事業法上の許可を受ける必要があるとしています。
まず、同法において、「卸売業」に関して明確な定義はなく、本件のように完成品を他社から購入し各社に販売する行為が「卸売業」であると判断される可能性は充分にあります。また、「店舗」に関しても明確な定義はなく、工場として登録されていたとしても、卸売業を行っている建物という意味で、貴社建物が「店舗」と判断される可能性があります。
その上で、「最低資本金」とは「登録資本金(Registered Capital)」のことを言い、その額が1億バーツに満たない場合には増資を行うまたは外国人事業法上の許可を受ける必要があります。
この際の資本金は、BOIのプロジェクトに必要な資本金とは別に必要となります。
貴社の資本金が1億5000万バーツあるとのことですが、仮に5000万バーツ以上をBOIの資本金として使用している場合、最低資本金が1億バーツ未満であるとして外国人事業法上の許可(FBL)を受ける、または増資をする必要があると考えます。
また、貴社の販売先が、最終需要者であるエンドユーザーに対しても販売することを指す場合には、小売業としての資本金(最低資本が1億バーツ以上または各店舗の最低資本が2000万バーツ以上であること)も上記に追加して必要となります。
加えて、商社機能を有するためには会社の事業目的に商社機能を有することが明記され、DBDに登記されていることも必要です。
【税務上の観点】
また税務的観点では、BOI事業とNon-BOI事業が発生しますので、BOI事業の法人税の免税恩典があれば、部門会計を行って頂き別々に会計処理、および法人税申告書(PND50)上区分して申告することが必要です。
検討事例:卸売業・小売業ともに行う場合には2億THB必要
ご質問の要約
当社は資本金2.5億バーツの100%外資BOI企業です。BOI事業奨励上の最低資本金は1.0億バーツです。外国人事業法上の小売表、卸売業の最低資本金が1億バーツとのことで、資本金の観点では当社もNon-BOI事業として卸売業、小売業が可能という理解でよいでしょうか。
カイプロ専門家の回答
BOI事業の必要な資本金が1億THBとのことですので、別の事業に残り1.5億THBを使うことができます。
この点、小売業もしくは卸売業のどちらかで1億THB必要ですので、小売業・卸売業のどちらも行う場合は1億THB以外に2億THBの資本金が必要です。
貴社で別事業に使用可能な資本金は1.5億THBですので、貴社の場合卸売りもしくは小売りのどちらかが可能です。
※加えて、DBDへの事業登録およびBOIの法人税免税恩典が残っていれば部門別会計、法人税申告が必要です。
100%輸出業に該当する場合は外国人事業法の適用除外
ご質問の要約
不要となった原材料を日本のグループ会社に販売することは可能でしょうか。なお当社は100%外資のBOI企業です。
カイプロ専門家の回答
通常、BOI企業の場合は外国人事業法上のルールで商社業として材料の販売のみ行うことはできませんが、今回のケースでは日本のグループ会社への販売とのことですので、100%輸出業であれば外国人事業法上の適用外となり、資本金がBOI用と別に200万THBあることを前提として販売が可能です。
※加えて、DBDへの事業登録およびBOIの法人税免税恩典が残っていれば部門別会計、法人税申告が必要です。
以上となります。
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