カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら
(カイプロ専門家メンバーへの各種専門サービスのご依頼はこちら

本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

回答者:BM Accounting 長澤(社会保険労務士、米国公認会計士(inactive))

長澤さん写真

※本内容は執筆時点(22年11月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

タイの試用期間の概要

タイでは採用にあたり試用期間を設けるケースが多いです。期間は任意ですが、90日や、解雇補償金の発生しない最大期間である119日以内などとするケースがあります。試用期間は採用者の能力を確認するための期間であり、試用期間内であればパフォーマンス不足を理由とした解雇が原則として可能です。

試用期間であっても各種手当は付与が必要

ご質問の要約

タイでは有給休暇の付与等で入社日を基準に計算しますが、この入社日は試用期間の開始日でしょうか?あるいは試用期間終了後の正社員登用日でしょうか?

また、他の休暇(用事休暇など)について、試雇期間中は付与しないことは可能でしょうか?

カイプロ専門家の回答

試用期間中も法的には雇用していますので勤続期間には試用期間も含まれます。そのため、この場合には入社日=試用期間開始日となります。

また同じく試用期間中も雇用扱いとなることから、労働者保護法で認められた用事休暇を含む各種休暇等については全て付与する必要があります。

試用期間中であればパフォーマンス理由での解雇が可能

ご質問の要約

試用期間中の社員がいますが、パフォーマンスが十分といえず試用期間内での解雇を検討しています。

この場合、試用期間の評価レポートなどを示すのみで問題ないでしょうか? また、評価レポートに記載すべき内容があれば教えてください。

カイプロ専門家の回答

試用期間中については会社に解雇の裁量がありますので、ご記載のような社内の評価レポートをもって解雇とすることが可能です。

ただし、試用期間中の解雇の場合にも解雇通知書の用意・一賃金支払期間前までの事前通知(または代わる予告手当)は必要です。

評価レポートには客観的にみてパフォーマンスが会社の期待に沿わないことが分かるようなコメントを残すのが良いかと存じます。また、不当解雇とされるリスクを減らすため一定の説明はして頂くのが望ましいです。

解雇通知書がない場合や、解雇理由の説明がない場合、解雇についての適切な理由の説明を受けていないとして不当解雇の訴えを起こされるリスクがあります。

事前通知日はいつとすべきか

ご質問の要約

試用期間の末(7月11日)付けで社員の解雇を考えております。給料は月末払いですが、いつまでに解雇通知をすれば良いでしょうか? (試用期間末の1か月前までで良いでしょうか?)

カイプロ専門家の回答

試用期間中であっても通常の解雇と同様に事前通知に関するルールが適用されるため、一賃金支払期間前に書面で解雇通知をする必要がございます。

貴社の給料支払日は毎月末とのことですので、試用期間終了日が7月11日の場合、試用期間末までに解雇するためには解雇通知は5月31日以前に行う必要があります。(通知後の給与支払い1回目:5月31日、通知後の給与支払い2回目:6月30日、試用期間終了日:7月11日)

試用期間末までに1賃金支払い期間が取れない場合

ご質問の要約

上記のケース(試用期間末:7月11日、給料は月末払い)で、解雇通知をせずに本来の通知期限である5月31日を過ぎてしまった場合、その他に何か対応方法はありますでしょうか?

カイプロ専門家の回答

本来の期限(この場合5月末)を過ぎている場合、実際の通知日から起算する退職日(1賃金支払い期間経過)までの期間分の支払いを行うことで、通知日付けを以って解雇をすることも可能です。

本件の場合、6月末までの通知であれば7月末までの支払い、7月1日~11日までの通知であれば、8月末までの支払いを行うことで、試用期間内での解雇(=パフォーマンス理由での解雇が可能)と扱うことができます。

なお試用期間が119日と設定されている場合、予告手当の支払いにより試用期間内での解雇(119日以内の解雇)の扱いとなるため、解雇補償金(120日雇用後の解雇時に必要) も不要となります。

試用期間の延長時、解雇補償金の要否は要合意

ご質問の要約

試用期間の満了を迎える従業員につき、試用期間の延長をできないか検討中です。

延長後、通常の試用期間と同様に解雇保障金なく解雇をすることは法律上可能でしょうか。

カイプロ専門家の回答

当初の試用期間から延長すること自体は可能ですが、その場合でも勤続期間が120日以上で会社都合解雇とする場合には法定の解雇補償金の支払いは必要となってまいります。

ただし、解雇時にご本人との合意退職とし解雇保障金は支払わない条件で同意が取れれば支払は不要となります。

以上となります。

ー カイプロ専門家メンバーへの各種専門サービスのご依頼はこちら ー
タイ|会計・税務・労務サービス

カイプロでは、月5,500THBで会計士・弁護士・社労士など複数の専門家に相談可能な顧問サービス「カイプロ」を提供しています。(詳細はこちら

本記事のような、試用期間などタイ労務管理に関する実務上の確認事項も、疑問が生じる都度、日本人専門家へ直ぐにご相談いただけます。

海外ビジネス現場ではリソースが限られています。
支援部隊が揃っている日本と異なり、何でも自分でやらなければなりません。

そんな時、ぜひ我々専門家を頼っていただきたいと思っています。

調べものの時間が削減できれば限られた時間を有効活用いただけます。また、専門家の見解を元により安全に事業を進めていただけます

タイでの会計税務、労務、法務のルール・実務に関し、

  • タイ人スタッフからの報告の妥当性を確認したい
  • トラブルが発生したのでやるべき初期対応について意見を聞きたい
  • 判断が必要なケースで他の日系企業で一般的にどのように進めているか知りたい

こうしたケースで、厳選された日本人専門家へ低価格で気軽にご相談いただけます。

この価格で複数の日本人専門家に相談できるサービスは当地では他にありません。
ご興味のある方は下記リンク先のサービス詳細ページから、または当サイトのお問合せフォームからご連絡をいただけますと幸いです。

月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」の詳細ページはこちら

ー カイプロ専門家メンバーへの各種専門サービスのご依頼はこちら ー
タイ|会計・税務・労務サービス