カイプロの西川です。月6,000THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら)
(カイプロ専門家メンバーへの各種専門サービスのご依頼はこちら)
本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。
回答者:BM Accounting 長澤(社会保険労務士、米国公認会計士(inactive))
TNY Legal 永田(弁護士・弁理士)
Kaipro 西川(公認会計士)
.png)
.png)
-反転.png)
※本内容は執筆時点(25年3月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。
労働者福祉基金の実施時期、概要
ご質問の要約
タイ国労働法内第13章 第126条~138条 労働者福祉基金に関して、2025年10月1日から施行されると理解しています。これは、いわゆるプロビデントファンドとは異なるものでしょうか。
カイプロ専門家の回答
ご理解のとおり、労働者保護法130条の規定(労働者福祉基金)について一定の基準が閣議決定され、2025年10月1日から施行されることとなりました。これはプロビデントファンドとは異なる制度となります。
労働者福祉基金は労働者保護法第13章に規定されているプロビデントファンドと類似する制度ですが、長期にわたり開始がされていない制度でした。
本制度では、各従業員の給与の一定割合を従業員給与から控除のうえ、これと雇用主負担分を併せてファンドへ拠出します。その後、労働者が退職または死亡した場合に当該基金から手当が支給されるものとなります。
対象企業
ご質問の要約
本制度の実施にあたり、企業規模による対象条件はありますか。なお当社の従業員数は20名です。
カイプロ専門家の回答
本制度の対象は、従業員が10人以上の事業所の労働者(ただしプロビデントファンド導入済みの事業所、および、省令で定める退職または死亡に伴う福利厚生制度導入済みの事業所を除く)となっています。
したがって、従業員が10人以上の会社である貴社においては、以下のいずれか行う必要があると思われます。
・労働者福祉基金を実施する
・プロビデンドファンドに加入する
・本件省令に定める福利厚生制度を設ける
負担率
ご質問の要約
本制度実施する場合、会社の負担はどのようなものでしょうか。またプロビデントファンドと比較すると負担に違いはありますか。
カイプロ専門家の回答
従業員と雇用主の負担率について2つの期間に分け、次のように定めるとされています。
(1) 2025年10月1日~2030年9月30日
従業員:給料の0.25%
雇用主:給料の0.25%
(2) 2030年10月1日以降
従業員:給料の0.5%
雇用主:給与の0.5%
プロビデントファンドとの比較としては、プロビデントファンドは給与の2-15%を会社が拠出し、また従業員は拠出率を自由に選択可能となっている点が異なります。
プロビデントファンド導入済みでもファンド未加入者は加入が必要
ご質問の要約
弊社にはプロビデントファンドの制度がありますが、加入は社員の任意です。この場合、プロビデントファンド未加入の従業員について労働者福祉基金の加入は必要ですか、不要ですか。
カイプロ専門家の回答
労働者福祉基金の対象企業は従業員10名以上の企業ですが、プロビデントファンド導入済みの企業及び退職または死亡に伴う退職金制度導入済みの企業は対象外となります。
ただし、2025年3月時点で労働局へ確認をしたところ、プロビデントファンドを導入している企業でファンド未加入者がいる場合、その従業員はファンドの恩恵を受けていないとして、労働者福祉基金を導入し、未加入者について基金に加入する必要があります。
一方、プロビデントファンド加入者については、労働者福祉基金への加入は選択することが可能です。
取締役でない赴任者も加入が必要
ご質問の要約
労働者福祉基金について、赴任者、駐在員も加入が必要と聞きましたが、本当でしょうか。
カイプロ専門家の回答
赴任者の方であっても、取締役でなく従業員の地位の方については加入が必要です。
労働者福祉基金からプロビデントファンドへの移行時の留意点
ご質問の要約
弊社では現在プロビデントファンド制度がないため、2025年10月時点では先ず労働者福祉基金に加入し、その後、プロビデントファンドへ切り替えることを検討しています。
これは可能でしょうか。可能の場合、留意点があれば教えてください。
カイプロ専門家の回答
2025年10月1日より施行される労働者福祉基金に加入後、労働者福祉基金から脱退し、プロビデントファンドへ切り替えをすることも可能です。
ただし、労働者福祉基金にて拠出した金額をプロビデントファンドへ引き継ぐことは出来ません。そのため、新たにプロビデントファンドへ加入をする必要があります。
また切り替え時の留意点として、労働者福祉基金に基づく必要な給付はその時点でご本人へ支給することとなります。
以上となります。
ー カイプロ専門家メンバーへの各種専門サービスのご依頼はこちら ー
タイ|会計・税務・労務サービス
カイプロでは、月6,000THBで会計士・弁護士・社労士など複数の専門家に相談可能な顧問サービス「カイプロ」を提供しています。(詳細はこちら)
本記事のような労働者福祉基金に関する実務上の確認事項も、疑問が生じる都度、日本人専門家へ直ぐにご相談いただけます。
海外ビジネス現場ではリソースが限られています。
支援部隊が揃っている日本と異なり、何でも自分でやらなければなりません。
そんな時、ぜひ我々専門家を頼っていただきたいと思っています。
調べものの時間が削減できれば限られた時間を有効活用いただけます。また、専門家の見解を元により安全に事業を進めていただけます。
タイでの会計税務、労務、法務のルール・実務に関し、
- タイ人スタッフからの報告の妥当性を確認したい
- トラブルが発生したのでやるべき初期対応について意見を聞きたい
- 判断が必要なケースで他の日系企業で一般的にどのように進めているか知りたい
こうしたケースで、厳選された日本人専門家へ低価格で気軽にご相談いただけます。
この価格で複数の日本人専門家に相談できるサービスは当地では他にありません。
ご興味のある方は下記リンク先のサービス詳細ページから、または当サイトのお問合せフォームからご連絡をいただけますと幸いです。
月6,000THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」の詳細ページはこちら
ー カイプロ専門家メンバーへの各種専門サービスのご依頼はこちら ー
タイ|会計・税務・労務サービス