カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら
(カイプロ専門家メンバーへの各種専門サービスのご依頼はこちら

今回はタイにおけるVATの基礎知識の解説記事のうち、3/4回目(繰越し・還付)になります。

第1回:タイVATの概要
第2回:輸出・輸入の取扱い
第3回:繰越し・還付の取扱い(本記事)
第4回:タックスインボイス

解説者:Kaipro 西川(公認会計士)

西川の写真

※本内容は執筆時点(23年6月)のものです。

繰越しと還付の概要

解説

続いて繰越と還付についてです。最終的には事業者のVATの負担は原則としてゼロとなりますが、一時的には資金的に負担をします。これは、後に補填されてプラスマイナスゼロになりますが、その補填の方法は以下3つになります。

  1. 支払った仕入れVATを売上VATの収入で賄う
  2. 仕入れVATの繰越(その後売上VATで賄う)
  3. 還付

輸出の場合を例に、上記3つの方法を解説します。

売上VAT収入で賄う

会社全体でVAT収支を計算し、国内売上のVAT収入が会社全体の仕入れVATを上回っていれば、仕入VATを賄うことができます。

繰り越し

次に繰越ですが、同月の国内売上VATが少ない場合、輸出売上のために払った仕入れVATを賄い切れません。この場合、一時的に資金負担した分が残ってしまいますが、この部分を翌月以降に繰り越し、将来の国内売上VATが増える場合には、その将来の売上VATで賄います。

還付

最後に還付ですが、将来の国内売上VATが増える見込みが少ない場合、一時的に資金負担した仕入VATは時間が経っても補填されません。この場合、税務署から還付を受けて負担を精算します。

なお仕入VATが売上VATよりも多い場合、繰越をするか還付をするかは、月次のVAT申告書(PP 36)において毎月選択します。

– 当社では、月5,500THBで会計士、弁護士、社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービスを提供しています。詳細はこちら。

還付に伴う税務調査

解説

還付申請を行うと、原則として税務調査が行われます。この際、そもそも税務調査が始まるまで数年を要するケースや、また税務調査自体も厳しく、申請した金額の半分しか戻らない、あるいは全く戻らない場合もあります。

そのため、可能な限り売上VAT収入で賄うことが安全です。これには繰越も含みます。現時点では仕入VATの方が多い状況でも、将来的に国内売上が増える見込みがある場合は、繰越処理を行い将来の売上VATで賄うことが可能です。

しかし、どうしても国内売上の割合が増える見込みがない場合は、還付申請をして還付を受けることになります。その際は、還付申請は毎月行った方が良いとされています。例えば1年間など長期にわたり繰越し処理を行い、1年に一度まとめて還付申請をすると、1年間で積み上げた要還付額を一括で申請することになります。しかし、税務調査は還付申請1回に対して1回行われるため、申請額が大きい場合は、税務調査が厳しくなる傾向にあります。

これに対し、毎月還付申請を行うと、1回1回の金額が少なくなります。その結果、税務署も少ない金額に対する調査コストが問題となり、書類の提出とチェックのみで対応し、問題がなければ返すという簡易調査で済むことも多いのです。

また、還付申請後に手続きが停滞するケースが多く見らます。その場合、フォローアップが必要となります。税務署のオフィサーとのミーティングなどを通じて停滞原因を確認し、オフィサーの名前を確認して議事録に残すことなども重要となります。

– 当社では、月5,500THBで会計士、弁護士、社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービスを提供しています。詳細はこちら。

(参考)輸出型企業の特例

国内仕入れ・輸出の事業形態では恒常的に還付ポジションとなるため、以下の制度が用意されています。(申請フォーム:SO1)

申請時には税務調査が実施されます。2年間有効で、更新時には再度調査・審査があります。

第3回は以上となります。

– 当社では、月5,500THBで会計士、弁護士、社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービスを提供しています。詳細はこちら。

他のVAT解説記事はこちら。
第1回:タイVATの概要
第2回:輸出・輸入の取扱い
第4回:タックスインボイス

ー カイプロ専門家メンバーへの各種専門サービスのご依頼はこちら ー
タイ|会計・税務・労務サービス

カイプロでは、月5,500THBで会計士・弁護士・社労士など複数の専門家に相談可能な顧問サービス「カイプロ」を提供しています。(詳細はこちら

タイのVATの処理方法などについて、日常業務において様々な疑問が生じるかと思います。そんな時に、月5,500THBという低価格で、日本人の税務専門家にいつでも気軽に質問・相談していただくことが可能です。

海外ビジネス現場ではリソースが限られています。
支援部隊が揃っている日本と異なり、何でも自分でやらなければなりません。

そんな時、ぜひ我々専門家を頼っていただきたいと思っています。

調べものの時間が削減できれば限られた時間を有効活用いただけます。また、専門家の見解を元により安全に事業を進めていただけます

タイでの会計税務、労務、法務のルール・実務に関し、

  • タイ人スタッフからの報告の妥当性を確認したい
  • トラブルが発生したのでやるべき初期対応について意見を聞きたい
  • 判断が必要なケースで他の日系企業で一般的にどのように進めているか知りたい

こうしたケースで、厳選された日本人専門家へ低価格で気軽にご相談いただけます。

この価格で複数の日本人専門家に相談できるサービスは当地では他にありません。
ご興味のある方は下記リンク先のサービス詳細ページから、または当サイトのお問合せフォームからご連絡をいただけますと幸いです。

月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」の詳細ページはこちら

ー カイプロ専門家メンバーへの各種専門サービスのご依頼はこちら ー
タイ|会計・税務・労務サービス