カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら)
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本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。
※本内容は執筆時点(21年4月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。
学資ローン基金からの天引き要請への対応
ご質問の要約
21年3月末給与よりThailand’s Student Loan Fund学資ローン返済を給与から天引きし支払うようタイ学資ローン基金 (กองทุนเงินให้กู้ยืมเพื่อการศึกษา)より要請がありました。
流れ・手続について教えていただけますでしょうか。
カイプロ専門家の回答
回答者:BM Accounting 長澤(社会保険労務士、米国公認会計士(inactive))
TNY Legal 永田(弁護士・弁理士
2017年に法改正され、給与からの天引きについての定めが規定されています。(学資ローン基金法(Student Loan Fund Act B.E. 2560(2017))
この天引きは法令によるもののため、労働者保護法76条1項(1)の「その他の法に定める金銭の支払い」に該当しますので、会社は労働者の同意がなくとも控除が可能です。また会社には天引きと支払いの義務があります。
学資ローン基金機構からの通知にかかる手続きの流れは以下の通りとなります。
- 学資ローン基金機構より、会社に返済情報を確認する奨学金返済サイトe–PaySLFというウェブサイト経由または別途通知書が送付
- 通知内容に基づき奨学金返済サイトe–PaySLFからユーザー登録
- 毎月5日に当月の返済額をサイトで確認
- 給料日に奨学金額を給料から天引き※既に退職している場合、給与の支払いが無いなどの理由の記載をすれば良い
- 給料日にサイトにログインし、会社が預かり奨学金額のバーコード/QRをサイトから印刷
- 翌月15日までに会社が預り奨学金を支払い
なお、支払いが遅れると延滞金2%が生じます。
学資ローン以外の個人債務に関する天引き要請
ご質問の要約
学生ローン以外にも個人債務について給与天引き要請がある場合がありますが、こちらはどのように対応すれば良いでしょうか?
カイプロ専門家の回答
回答者:TNY Legal 永田(弁護士・弁理士
学生ローン以外のローンについて、学資ローン基金法のような給与からの天引きを規定している特別法は確認できておりません。したがって、一般的なローンに関しては、民事訴訟法(the Civil Procedure Code)に従って執行が行われます。
一般的に、裁判所での判決を得た債権者の請求により、執行官が執行手続きを行うことになります(同法第272条、第275条、第276条)。
債務者(従業員)の給与を差し押さえる場合、執行官は当該債務者の使用者に対して、執行に関する文書(執行令状等)を送付または提示し、執行を行います(同法第280条、第281条)。当該執行に関する文書に従い、使用者は当該債務者の給与から天引きした差押債権を、執行部に引き渡すことになります。
なお、同法第302条1項(3)より、当該債務者の給与のうち、月20,000THBまでは執行が禁止されている金銭となるため、月20,000THBを超える部分についてのみ差し押さえがなされます。
以上となります。
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