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本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

回答者:BM Accounting 長澤(社会保険労務士、米国公認会計士(inactive))

長澤さん写真

※本内容は執筆時点(24年11月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

一時休業・休業補償の基礎知識

ご質問の要約

タイにおいて、一時休業制度にはどのようなものがあるのでしょうか。

カイプロ専門家の回答

一時休業制度(休業補償)については、以下の規定があります。

(1)給与75%補償での一時休業

以下の条件を満たすことを前提として、臨時的に事業の全部または一部を休業することが可能。この場合、会社は従業員に対して給与の75%の休業補償を行う。

・通常の業務運営が困難になるほどの事業活動に支障を生じる重大な理由があること。
・労働者および労働局への 3 労働日前までの事前通知を行うこと。

(2)休業補償なしでの一時休業(不可抗力による休業)

休業の理由が不可抗力によるものと認められる場合、休業補償金の支払いなく一時休業が可能。

一時休業の単位

ご質問の要約

会社の一部を一時休業とする場合、休業単位はどのような単位で設定可能でしょうか。

事業単位のほか、部署単位(工場は休業、営業は休業しない等)、或いはもっと細かくライン単位、個人単位(営業の同役職の者でも数名を休業、数名を出社など)は可能でしょうか。 

カイプロ専門家の回答

会社全体でなく一部の休業とする場合、休業単位は、「通常の業務運営が困難となる重大な理由」がその単位に該当することが認められれば可能です。

個人単位での休業はこの重大な理由との関連付けが一般的に難しいと考えられます。重大な理由として認められない場合、一時休業が認められずに全額の補償が必要となる可能性があります。

そのため、一般的には重大な理由の関連付けがしやすい事業単位や部署単位とするケースが多いです。

一時休業の関して従業員・労働組合の同意は不要

ご質問の要約

給与75%補償による一時休業ですが、従業員の同意を得る必要はありますか。

例として、従業員側から補償額が足りないや、他社はより多く補償しているなどと言われた場合、従業員と合意をする必要はありますか。

類似質問:
当社の組合は、給与75%補償による休業には組合との合意が必要と主張していますが、本当でしょうか。

カイプロ専門家の回答

労働者保護法で規定される一時休業/休業補償は

  • 通常の業務運営が困難になるほどの事業活動に支障を生じる重大な理由があること
  • 労働者および労働局への 3 労働日前の事前通知を行うこと

を前提として、臨時的に事業の全部または一部を休業することを認め、会社は75%の休業補償を行う制度となります。

上記のとおり、要件としては従業員との合意や労働組合との合意は含まれていません。そのため、必ずしも従業員等と合意をする必要はありません。 

なお労働者への事前通知は要件となっているため、従業員や労働組合への通知は行います。その際、「通常の業務運営が困難になるほどの事業活動に支障を生じる重大な理由があること」について従業員側から疑義が呈される可能性はあります。

ただしその場合でも、従業員等との合意は一時休業の要件ではないことから、あくまでも会社側としては要件を満たしていると考える場合、労働局に一時休業の届け出のうえその判断を待つことになります。

一時休業が認められないケース

ご質問の要約

給与75%補償での一時休業ですが、生産数減少を理由として労働局へ通知したところ、労働局より認められない旨の通知がありました。

理由は、利益が一定確保できている状態で休業をすることは不可とのことです。同様の状況でも認められているケースも見聞きしていますが、実際には当該理由では一時休業は認められないのでしょうか。

カイプロ専門家の回答

給与75%補償による一時休業が認められるかについては、管轄の労働局により判断が分かれるという実情があります。

減産を理由とする一時休業については、減産の程度や財務面の状況(減算による赤字幅、会社全体の業績)も加味するものとされています。

この点、利益が出ている状態での減産を理由とする一時休業であっても認められているケースも見受けられるため、やはり管轄の労働局により判断が分かれる部分と考えられます。

特に、減産理由が会社マネジメント側の裁量による部分が原因である場合(例えば事業計画の見込違いなど) には一時休業が認められない可能性が高まるものと考えられます。

またこの点で裁判となる場合には、この会社マネジメントの裁量部分が原因であるか否かについてより保守的に判断される場合が多いようです。

以上となります。

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