カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら

本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

回答者:TNY Legal 永田(弁護士・弁理士)

永田弁護士の写真

※本内容は執筆時点(23年3月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

株主総会実施の手順

ご質問の要約

株主総会の実施手順について教えてください。なお委任状を利用予定です。

カイプロ専門家の回答

委任状による株主総会の手続手順は下記のようになります。

①株主総会招集通知
(普通決議の場合)株主総会開催日の7日前までに、新聞公告および全株主への配達証明郵便による郵送での招集通知の送付(この通知に委任状を同封)※
(特別決議の場合)株主総会開催日の14日前までに、新聞公告および全株主への配達証明郵便による郵送での招集通知の送付 (この通知に委任状を同封)※

※2023年2月の民商法典改正により、記名式株式を発行する非公開会社においては株主総会の新聞公告は不要となりました。

②委任状の作成
各株主様に、委任状の委任者欄に署名してもらい返送。
返送後の委任状の受任者欄に、受任者となる方が署名

③株主総会の開催
株主(委任状があれば受任者)が株主総会に出席
株主総会開催後に議事録を作成

なお、付属定款(AOA)に株主総会の開催に関して手続きの加重などの定めがあれば、その手続きにも従う必要があります。

委任状による委任は誰に対しても可能

ご質問の要約

株主総会へ出席できない株主の議決権について、株主ではないタイ現法MDに委任することは可能でしょうか。

カイプロ専門家の回答

株主が委任状を交付し、議決権行使を代理人で行うことは可能であり、それは株主以外の誰を代理人としても問題ありません。

招集通知は配達証明郵便で送付の必要あり

ご質問の要約

当社は製造業で本社100%所有の会社ですが、株主総会招集通知はメール送付可能でしょうか。

カイプロ専門家の回答

株主総会の開催にあたりすべての株主に対して配達証明付郵便にて招集通知を送付することが法律上要求されています。

カイプロ注:Web会議開催の場合、メール送付も認められています。Web会議開催の場合にはその他実施要件が定められていますのでご留意ください。

参考記事「株主総会/取締役会のWeb会議での開催」
https://kaipro.link/articles/gsm-bod-via-web-conference/

定時株主総会の議題

ご質問の要約

定時株主総会の議題として、一般的にどのようなものがあるか教えて下さい。

カイプロ専門家の回答

定時株主総会の議題として一般的に見る内容として、以下があります。

  • 前回株主総会の議事録の承認(任意)
  • 昨年度の決算書の承認
  • 取締役の選任と報酬の決定
  • 会計監査法人の選任と報酬の決定
  • 配当決議(ある場合)
  • 大型投資等など経営状態に影響が予測される物の決議(任意)

「前回株主総会の議事録の承認 」は法的には必須ではありませんが、実務上はほとんどの会社で行われています。これは、前回の株主総会の決議に問題がないことを追認し、総会決議取消などにならないよう法的安定性を高める観点から行うものです。

「取締役の選任 」については、毎年の最初の株主総会において、取締役の3分の1(端数が生じる場合は3分の1に最も近い人数)が退任する(再任は可) とされており(民商法典1152条 )、定時株主総会より前にこれを行っていない場合は、定時株主総会で行います。

「会計監査法人の任命 」について、会計監査人も定時総会までが任期です(1209条)。そのため、毎回の定時株主総会において会計監査人の選任をします(再任は可能)。

定足数

ご質問の要約

極一部の議決権を有する株主が総会欠席となる場合、特段手続きは不要でしょうか?(委任状などなく単に欠席であっても問題ないでしょうか?)

カイプロ専門家の回答

株主が総会に欠席し、委任状も提出しない場合、その株主以外の株主の出席等で定足数(発行済株式数の資本の4分の1以上を有する株主の出席、1178条)を満たすのであれば株主総会は有効に成立します。※

そのため、定足数に問題なければ、欠席者の委任状が無くとも問題はありません。
※2023年2月の民商法典改正により、株主2名以上の出席が定足数要件として追加されました。

決議要件は出席株主の持つ議決権で判断

ご質問の要約

普通決議では過半数の賛成が必要かと思いますが、これは発行している総株式数の過半数でしょうか?

カイプロ専門家の回答

過半数(普通決議)や4分の3以上(特別決議)といった決議要件は、出席株主(委任状を含む)が保有する総議決権で考えます。(欠席している株主の持つ議決権は勘案しない)

決議の種類(普通決議、特別決議)と条件

ご質問の要約

株主総会での決議事項(普通決議、特別決議)について、概要、根拠となる条文を教えてください。

カイプロ専門家の回答

株主総会の決議については、以下の二つがあります。

  • 普通決議(出席株主の有する議決権の過半数の賛成、賛否同数の場合は議長が決定。民商法典1193条)
  • 特別決議(出席株主の有する議決権の4分の3以上の賛成。民商法典1194条)

普通決議事項は民商法典1150条や1151条、1201条などに規定があります。取締役の報酬、取締役の選任・解任、財務諸表の承認、配当支払いなどです。

一方、特別決議は、定款の変更、増資・減資、解散、合併などです。民商法典1145条、1220条などに規定があります。

議決権の数

ご質問の要約

株主総会での議決権について、タイでは株主1人1票が原則であると聞きました。株式数をもとに議決をとることはできないのでしょうか?

カイプロ専門家の回答

原則は、株主一人1票による挙手制です。ただ2人以上の株主の請求または附属定款の定めがあれば株式数に応じた投票(1株1票など)になります(民商法典1182条、1190条)。

なお、特別利害関係株主は、議決権を有しません(民商法典1185条)。

類似質問:弊社の附属定款には「1 株につき 1 票の投票権を持つも のとする」という記載がありません。その場合、1株1議決権ではなく、1株主1議決権であることになりますか?

回答:定款において規定がなければ、民商法典の原則のとおり1株主1議決権となります。

書面決議は法律上は不可

ご質問の要約

株主総会を書面のみで行うことは可能でしょうか?

カイプロ専門家の回答

法的には認められません。事実上株主総会などを開催せず、実際に開催した形で書面のみを作成し処理をしているケースは実務上あるかと思います。

株主全員の同意があっても手続省略は不可

ご質問の要約

日本においては「株主全員の同意がある場合には招集手続きを省略することができる」と法律上定められていますが、タイにおいて同様の規定はありますか?

カイプロ専門家の回答

タイにおいては、株主全員の同意があっても招集手続きを省略できません。

以上となります。

カイプロでは、月5,500THBで会計士・弁護士・社労士など複数の専門家に相談可能な顧問サービス「カイプロ」を提供しています。(詳細はこちら

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