カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら
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本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

回答者:BM Accounting 長澤(社会保険労務士、米国公認会計士(inactive))
   :TNY Legal 永田(弁護士・弁理士)
   :Kaipro 西川(公認会計士)

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※本内容は執筆時点(2022年5月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

出張者のWP対応

ご質問の要約

本社人員がノービザで出張し、タイ現法の業務支援(生産指導)を行う予定です。法律上問題無いでしょうか?頻度は月に1回程度となります。

カイプロ専門家の回答

タイで就労行為を行う場合、1日の就労であっても労働許可(ワークパーミット、WP)または緊急業務届が必要となります。

※就労行為:賃金の有無にかかわらず、肉体・知識をもって働くことは原則全て該当。

参考|JETRO記事 https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/02/9fc0b61ea5a5f0b6.html

WPでなく緊急業務届で対応可能な業務は上記JETRO記事に列挙されている通り、以下の通りです。

  1. 会議、トレーニング、またはセミナーの開催
  2. 特別学術講演
  3. 航空管理
  4. 内部監査
  5. フォローアップ作業および技術的な問題解決作業
  6. 製品または商品の品質検査
  7. 生産工程の検査または改善作業
  8. 機械および発電設備の点検または修理作業
  9. 機械の修理または設置作業
  10. 電車システムの技術的作業
  11. 航空機または航空設備の技術的作業
  12. 機械修理または機械制御システムのコンサルテーション
  13. 機械のデモンストレーションおよびテスト
  14. 映画または写真の撮影
  15. 国外での就労者を送り出すための就労希望者の選定作業
  16. 国外での就労者を送り出すための技能者の試験

「生産指導」の具体的内容が「生産工程の改善作業」に該当する場合には緊急業務届で対応可能ですが、認められるか否かは労働局オフィサー(BOI用の緊急業務届の場合はBOIオフィサー)の判断次第となり、認められなければWP取得で対応することとなります。

一方、実務上、WP等なしで活動されるケースも見受けられます。こちらは違法ではあるものの、そのリスクを各社で判断をした結果であると考えられます。

※カイプロ注:緊急業務届についてはこちらの記事もご参照ください。

緊急業務届の基礎知識
https://kaipro.link/articles/urgent-work-permits-in-thailand/

※カイプロ注:ビザについて
WPの場合、当然にBビザを取得のうえWP取得の流れとなります。一方緊急業務届の場合、上記の「緊急業務届の基礎知識」記事に記載がありますが、届出申請時にBビザは要求されません。しかし、法的には就労目的である以上本来はBビザが必要となります。

就労にあたらない活動でのVISA・WP対応

ご質問の要約

サイン権を持つ非居住者取締役がノービザで短期出張をしサイン対応することを検討していますが、法律上可能でしょうか?

カイプロ専門家の回答

WPについて

下記JETRO記事の通り、「セミナー参加」「視察・商談」「自社の取締役会への参加」などは就労にあたらないとされています。

参考|JETRO記事 https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/02/9fc0b61ea5a5f0b6.html

上記に該当する場合はWP等が無くとも実施可能ですが、例えば取締役会以外での業務上のサイン行為を行う場合などはWPまたは緊急業務届が必要となります。

VISAについて​

一方ビザについては、(上記の就労行為でない活動を含め、)観光目的以外での入国・滞在では法的にはビザが必要となります。セミナーやビジネスミーティング等が目的の場合、ノンイミグラント-B/IB(商用)VISAを取得します。

ただし、実務上、短期滞在でビジネスミーティングやセミナーへ参加する場合、ノービザでタイに来られるケースは見受けられます。

追記:
24年1月から26年12月末まで、日本人の商用目的での30日以内の滞在について、商用ビザが免除されることとなり、商談等についてはビザなしで活動が可能となりました。詳細は以下記事参照。

30日以内の商用滞在はビザ免除に
https://kaipro.link/articles/30-days-visa-exemption-in-thailand/

※カイプロ注:APECビジネストラベルカード(ABTC)で入国、商用活動をすることも可能です。

参考:外務省 APECビジネストラベルカードについて

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/apec/about_vabtc.html

※「1.出張者のWP対応」「2.就労にあたらない活動でのVISA・WP対応」のまとめ

WP
緊急業務届
ビ​​ザ​​​​​
就労行為
(緊急業務届対象外)
必要
(WP)
必要
(Bビザ)
就労行為
(緊急業務届の対象)
必要
(緊急業務届)
必要(Bビザ)
※ただし申請時要求されない
就労外の商用活動不要必要
(Bビザ商用またはABTC)
※1:前述の通り24年1月から26年12月末まで日本人の商用目的の30日以内の滞在はビザなしで可能。

APECカードでの入国は就労行為は不可

ご質問の要約

日本からの出張者が業務支援を行う予定です。この者はAPECカードを所持していますが、これで適法に業務支援を行うことは可能でしょうか?

カイプロ専門家の回答

APECカードはあくまでも短期商用ビザの効力であり、商談等はできますが、タイでの就労行為はこのAPECカードでの入国においては行えません。

以上となります。

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