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本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

回答者:BM Accounting 長澤(社会保険労務士、米国公認会計士(inactive))

長澤さん写真

※本内容は執筆時点(23年10月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

残業代等のベースとなる「賃金」の範囲

ご質問の要約

残業手当、解雇補償金、社会保険料などの計算の際のベースとなる賃金には、基本給のみが含まれるでしょうか。あるいは、各種手当なども含めるべきものでしょうか。「在タイ日系企業で見られる方法」、および「法律上の保守的な方法」の2点についてご教示ください。

なお当社では残業手当計算の際に基本給のみを対象としていましたが、労働局より、住宅手当等の毎月定額の手当も基本給に含めるべきと指摘がありました。

カイプロ専門家の回答

【在タイ日系企業で見られる方法】

日系企業においては、各種の計算の際の賃金の範囲について、以下のような取扱いが比較的多く見られます。

(1)割増賃金

基本給のみを計算対象とする。

※ただし上記方法は、欠勤控除の計算において各種の定額手当を減額せず、欠勤がある場合にもそれら手当を満額支給することが前提。欠勤時に減額している場合、それら各種手当についても割増賃金の対象に含める。

※当該方法は日系企業において比較的見られる方法であり特段問題が生じていないケースも多いものの、法律上は後述の「法律上の保守的な方法」が正しい形となり、当局より是正の指摘を受ける可能性もある。

(2)解雇補償金・社会保険料

毎月固定で支払うものは全て計算対象に含める。ただし、福利厚生的なものを除く。

※後述の「法律上の保守的な方法」と同じ方法。詳細は後述。

【法律上の保守的な方法】

法令上は労働者保護法5条の定義において、以下の通りとなっており、「労働の対価として支払われるものを含む」となっておりますので、残業手当、解雇補償金、社会保険料などの計算ベースとなる「賃金」には、保守的には毎月固定的に支給されるものは全て含むことになります。

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「賃金(カー・チャーン)」とは、雇用契約に基づき、時間、日、週、月、あるいはその他の期間において、その労働の対価として支払われる、使用者及び被雇用者が合意した金銭を意味する。あるいは、被雇用者が勤務日の平常の勤務時間において達成した成果の計算に基づき支払われる金銭、またはこの法令に従い被雇用者が受け取る権利のある、休日・欠勤日に対して使用者から支払われる金銭を意味する。
―――

一方、判例上、「福利厚生の性質の手当」は賃金の範囲から除くとされているものがあります。これに基づくと、例えば皆勤手当、住宅手当(家賃補助)や車両費などは、福利厚生規程があることを前提とし、賃金の範囲には含めないこととなります。

ただし、もともとタイ企業においては基本給・手当の区分をしない場合が多いこともあり、当局担当官によっては、賃金の範囲について広く判断をすることがあります。この対応として、福利厚生の性質の手当について、目的・制度趣旨などを規定類に記載しておくことなども当局判断の際の判断材料になると考えられます。

以上となります。

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