カイプロの西川です。月6,000THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら
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本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

回答者:J Glocal Accounting 坂田(タイ税務・BOI専門家)

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回答者:BM Accounting 長澤(社会保険労務士、米国公認会計士(inactive))

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Kaipro 西川(公認会計士)

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※本内容は執筆時点(24年7月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

繰越欠損金の基礎知識

ご質問の要約

タイの税務上の繰越欠損金について、概要を教えてください。

カイプロ専門家の回答

タイの繰越欠損金は発生年度の翌年度以降5年間にわたって繰り越すこと可能です。

例えば20X0年度決算期に発生した欠損金について、20X5年度決算期まで繰り越し、それまでに発生した黒字(課税所得)と相殺をすることが可能です。

また、BOI企業で法人税の免税恩典がある場合には、免税期間中に発生した欠損金を、免税期間の終了から5年間繰り越すことが可能です。※

例えば免税期間が8年の場合、8年間で発生した欠損金を、免税期間の終了後5年間繰り越す事が可能です。

※以下を前提とします。

  • BOIの免税について、免税額の金額上限の設定がない
  • BOI監査も完了し免税を受けている
  • 税務調査により欠損金の減額等の指摘を受けていない

※BOI企業における繰越欠損金が多額にある場合、歳入局による税務調査の指摘により欠損金額が減額される(将来の法人税額を増やすため)ケースが見られるため留意が必要です。

期中で免税期間が終了する場合の考え方

ご質問の要約

BOIの繰越欠損金の繰越期限は免税期間の終了から5年間とのことですが、期の途中で免税期間が終了する場合、どのように考えれば良いのでしょうか。

カイプロ専門家の回答

先ず、「免税期間の終了日」は「免税期間の開始日」 からの期間で考えますが、「免税期間の開始日」とは「初回のBOI収入が得られた日」のため留意が必要です。

そして、「免税期間の終了日」が期中の場合、繰越し対象となる「免税期間中の欠損金額」の計算のため、終了日の前後の利益を区分します(日割り、あるいは簡便的に月次。免税期間終了年度のBOI監査および法人税申告書で区分。)

そして、この確定した「免税期間中の欠損金額」につき「免税期間の終了日」から5年間繰り越しが可能です。(当該欠損金を繰越し4年目までで使用しきれない場合、繰越し5年目においては、相殺対象とできる繰越期限内の利益についても日割りあるいは月次で区分。)

免税期間の欠損金は、同期間の黒字と相殺せず繰越し可能

ご質問の要約

BOI対象期間において、黒字の期と赤字の期があります。

この場合、法人税免税期間の後5年間繰り越せる欠損金額は、「免税期間の間の黒字と赤字を相殺した残額」か、「免税期間中の赤字を単純合算した金額」のどちらでしょうか。

例えば、以下のようなケースでは、繰り越せる金額は100でしょうか、80でしょうか。

免税期間X1X2X3X4X5
 損益-50-30-200+20

カイプロ専門家の回答

前提として、他のBOI事業/Non-BOI事業を平行して行っていないケースと仮定してご回答します。

BOIの法人税免税期間において黒字で法人税が発生する場合、一般的に法人税免税恩典を利用するかと思います。これにより、同期間中に黒字(課税所得)があったとしても法人税は免税となります。その結果、「免税期間中の赤字を単純合算した金額」である100を免税期間後5年間繰り越すことが可能です。

免税期間と同期間にNon-BOI事業がある場合

ご質問の要約

当社はBOI事業とNon-BOI事業の両方を運営しています。

ある期において、Non-BOI事業は黒字、BOI事業は赤字となりました。BOI事業の方が赤字が大きく全社合計では赤字ですが、この場合、Non-BOI事業の黒字に対して法人税は課税されますか。

カイプロ専門家の回答

同期間にBOI事業(法人税免税対象)とNon-BOI事業の両方がある場合、それらの損益を相殺(損益通算)した金額に対して法人税の課税計算を行います

そのため、ご記載の状況のように相殺した結果の合計で赤字の状態であれば、法人税は発生しません。

※なおこの場合、BOI事業の欠損で相殺に使用した金額については、既に使用済みであるため金額免税期間後に繰り越すことはできません。

参考)複数のBOI事業とNon-BOI事業がある場合

ご質問の要約

当社はBOI事業2つとNon-BOI事業1つを平行して運営しています。この場合の損益の相殺について判例があると聞きました。概要を教えていただけますでしょうか。

カイプロ専門家の回答

このケースについてはBOIと歳入局で損益の相殺(損益通算)方法の見解が分かれ、最高裁判例があります。

最終的に正しいとされた方法は、「先ずBOI事業(法人税免税対象)同士で損益を相殺し、なお欠損の残額がある場合にのみ、当該欠損をNon-BOI事業の利益と相殺する」という方法になります。

ケース1

 BOI事業1BOI事業2Non-BOI事業
損益200-150100
先ずBOI事業同士で相殺50100

⇒課税されるNon-BOI事業の利益:100

BOI事業同士で相殺した時点でBOI事業2の欠損は使い切るため、Non-BOI事業の利益100を減らすことはできず、100全体に対して課税される。

ケース2

 BOI事業1BOI事業2Non-BOI事業
損益150-200100
先ずBOI事業同士で相殺-50100

⇒課税されるNon-BOI事業の利益:100-50=50

BOI事業同士で相殺をしてもなお欠損-50が残る。この欠損額は、Non-BOI事業の利益と相殺し法人税を減額することが可能。

参考:BOIが主張していた方法は、法人税免税事業の欠損は優先的にNon-BOI事業と相殺するという方法。この方法の場合、ケース1、ケース2ともに、課税されるNon-BOI事業の利益は0となり法人税は発生しない。

以上となります。

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