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本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

回答者:J Glocal Accounting 坂田(タイ税務・BOI専門家)
    Kaipro 西川(公認会計士)

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※本内容は執筆時点(24年6月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

源泉徴収税の概要、対象となる国内取引

ご質問の要約

タイにおける源泉徴収の対象、国内取引の税率等の概要を教えてください。なお当社はサービス業の会社です。

カイプロ専門家の回答

タイ国内取引における源泉徴収税は主に以下の取引が対象です。

利息・・1%
広告料金・・2%
ロイヤルティ、コミッション、サービス料・・3%
賃借料・・5%
配当・・10%

サービス売上の場合、顧客側が3%を差し引き支払いのうえ、顧客側でPND53という申告書によって支払月の翌月7日(電子申告の場合は翌月15日)までに歳入局に納税します。

一方、販売側(貴社側)では売上から3%控除されて入金されますが、これは法人税の前払いの性質になります。年間の法人税申告書(PND50)上で、既に控除された源泉徴収税分を納付済みの法人税の扱いで控除し、申告、残額の納税を行います。

VATを含めた支払額の計算

ご質問の要約

サービス売上等で売上に対してVATと源泉徴収税の両方がかかる場合、どのような計算になりますか。

カイプロ専門家の回答

VAT、源泉徴収税ともに取引本体金額に税率をかけて算出します。

サービス料の場合で取引金額が100THBの場合、
VAT7%=7THB
源泉徴収税3%=3THB

この二つを計算し、本体価格+VAT-源泉税=104THBが支払われる形になります。

赤字決算、利益率が十分でない場合の源泉税の取り扱い

ご質問の要約

今期赤字決算でしたが、既に控除された源泉税(法人税の前払いの扱い)はどのような扱いとなりますか。

カイプロ専門家の回答

仮に赤字決算でそもそも法人税が発生しない場合には控除済み(納付済み)の源泉税を使用することができないため、還付を申請することが可能です。ただし還付申請を行うとほぼ必ず税務調査を受けることになるため、還付申請額と税務調査対応コスト等を比較し、還付の是非を決めることが一般的です。

なお赤字決算や利益率が十分でないことにより使用しきれない源泉徴収税は、翌年に繰り越すことはできず、申告日から3年以内に還付申請を行うか権利放棄をするかのどちらかとなります。

関連記事:
使い切れない売上源泉税は繰越し不可
https://service.kaipro.link/support/solutions/articles/27000071166

源泉税還付・放棄の判断要素
https://service.kaipro.link/support/solutions/articles/27000073467

特注品等の製造も源泉税の対象

ご質問の要約

弊社では一部特注機械の製造を行っていますが、これに源泉税がかかっています。特注品の製造は物品取引ですが、源泉徴収税がかかるものなのでしょうか。

カイプロ専門家の回答

物品売買は原則として源泉徴収税は生じませんが、以下のような場合には製造販売(既製品の販売)ではなく請負契約の区分となり、サービス取引として源泉徴収税が発生します。

  • 物品の引き渡し時に物品以外のサービス取引(例えば特注機械の使い方に対するトレーニングやインストール費用等)が含まれている場合
  • 特注品などオーダーメイドで顧客側が作成に対する指示を行う場合
  • 顧客から材料支給があり加工する場合 など

特注機械の製造等のほか、建設業であれば施設等の物理的な完成品はありますが、設計や建設という請負業務の扱いとなり、単純に物の売買とはされません。その他、金型等もオーダーメイド品として、請負契約の扱いとなり同じく源泉税が生じます。

物品費用とサービス料が併せて請求される場合の留意点

ご質問の要約

設備の修理をしてもらう時に部品代とサービス費用の合計が併せて請求されますが、この場合、源泉徴収税は部品代を含めた合計に対してかかりますか。あるいはサービス費用部分のみが対象でしょうか。

カイプロ専門家の回答

原則として物品の売買は源泉税の対象ではなく、サービス料のみが対象ですが、請負サービス等の場合、一定の場合(サービス提供側が貴社の代理で部品を購入し、貴社の名前でTax Invoiceが発行されている等※)を除き、当該請負サービスのために必要となる部品はサービス提供に必須のものである(一連のサービス内容である)として源泉税の対象となります。

源泉税の天引き判断に際して「サービス」と「部品」を分けられるケースは限定的のため、貴社からの支払い時には合計額に対して源泉税の天引きを行うのが望ましいと考えます。

※このような代理購入(書類上は自社名での物品購入)の場合でも、税務調査の際には本来的には源泉税の対象であるとして、物品部分の源泉徴収漏れを指摘される場合があります。リスク低減のためにはサービス事業者側と協議のうえ、物品を含む合計額に対して源泉徴収を行うことが望ましいです。

海外送金時の源泉税の取り扱い

ご質問の要約

海外送金時の源泉徴収税の対象取引、税率を教えてください。

カイプロ専門家の回答

※本項目の回答内容はカイプロご契約者様限定のコンテンツです。

相手方が源泉徴収を認めない場合

ご質問の要約

海外へサービス料の送金を行う際、先方が源泉徴収対象外の取引との理解で源泉税控除を拒否しています。この場合、どのように処理をすればよいでしょうか。

カイプロ専門家の回答

※本項目の回答内容はカイプロご契約者様限定のコンテンツです。

以上となります。

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タイ|会計・税務・労務サービス

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