カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら)
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本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。
回答者:BM Accounting 長澤(社会保険労務士、米国公認会計士(inactive))
※本内容は執筆時点(23年3月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。
有期雇用契約の概要(雇用終了方法・解雇補償金)
ご質問の要約
コストのフレキシビリティを上げるため、有期雇用契約を検討しています。無期雇用契約との違いについて教えてください。
カイプロ専門家の回答
有期雇用契約の場合、(無期雇用契約とみなされる状況でなければ)契約満了時に会社判断で契約を継続しないことが可能です。不当解雇のリスクなく雇用の終了ができるため、コストのフレキシビリティは上がります。
ただし、有期雇用契約でも原則として解雇補償金は必要です。※1
※1:特例有期雇用契約(後述)に該当する場合は解雇補償金も不要です。
・有期雇用契約と無期雇用契約の相違点
無期雇用契約 | 有期雇用契約 | |
会社判断での雇用終了方法 | 解雇 | 契約を継続しない |
不当解雇のリスク | あり | 原則なし |
解雇補償金 | 必要 | 原則必要 ※ |
※特例有期雇用契約に該当する場合は解雇補償金不要。
有期雇用契約でも有給休暇・社会保険の付与が必要
ご質問の要約
有期雇用契約の場合、「有給休暇」や「病気休暇」は社員と同様付与が必要でしょうか? また、社会保険の加入も必要でしょうか。
カイプロ専門家の回答
有期雇用契約であってもあくまで雇用契約のため、年次有給休暇・病気休暇等の法定の休暇については付与が必要となります。ただし、年次有給休暇は1年勤務後に付与されるものとなりますので、1年間の有期雇用で契約更新がされない場合には付与は不要となります。
また、有期雇用契約の場合も社会保険の加入は必要となります。
無期雇用契約とみなされるリスク
ご質問の要約
有期雇用契約について、契約書更新をせずに契約更新を繰り返しています。なにか問題はありますか?
カイプロ専門家の回答
実態として無期雇用契約とみなされ、契約終了時に、解雇と同様の手続きを求められるリスクがあります。
これを避けるためには、自動更新は避け、契約期間満了時に継続の必要性を都度検討し、都度新たな契約を締結するのが望ましいです。
有期雇用契約の解雇補償金の考え方
ご質問の要約
有期雇用契約での解雇補償金はどのような場合に必要ですか?(無期雇用と同じく60歳以上は自己都合でも必要ですか?)
また有期雇用契約を繰り返している場合、解雇補償金の金額計算の元となる勤続期間はどのように考えますか?
カイプロ専門家の回答
有期雇用契約での解雇補償金は、会社都合で契約を更新しない場合に必要です。なお有期契約では定年という考え方はありません。60歳以上の方が本人都合で契約継続しない場合でも、解雇補償金は不要です。
また有期契約を繰り返している場合には、解雇補償金は通算の契約期間を元にして計算します。
特例有期雇用契約の概要
ご質問の要約
特例有期雇用契約では解雇補償金も不要と聞きました。概要を教えてください。
カイプロ専門家の回答
以下の3つの条件を全て満たす特例有期雇用契約の場合、解雇補償金の支払いが不要となります。
- 期間が2年以内
- 通常の事業、取引ではない特別な事業に関わる業務、または臨時的・季節的な業務
- 上記に該当し解雇補償金の支給をしない旨、雇用契約書等で合意している
ただし、「季節的・臨時的」の条件は非常に限定的に解釈されているため、実際に適用可能な例は多くありません。
例えば、会社が顧客から1年契約の仕事を受注し、その業務のために有期雇用をした場合などは一般的に対象となります。
有期雇用契約と請負契約の相違点
ご質問の要約
通釈者について、「有期雇用契約」にするか個人事業主との「請負契約」にするかで悩んでいます。
「請負契約」の方が解雇補償金が不要、また社会保険等も不要のため良いように思えますが、何かデメリットはありますでしょうか。
カイプロ専門家の回答
請負契約の場合、雇用でないため労働法の適用は無く、社会保険加入、解雇補償金もない一方、指揮命令権がなくあくまでも契約上取り決めた内容に基づく委託のみとなります。
例えば通訳の請負契約の場合、細かい業務遂行方法に関する指揮命令は出来ず、あくまでも行う業務・成果に基づき請負報酬を支払います。
また、契約が請負契約でも実態として雇用契約の場合(指揮命令をしている、勤怠管理をしているなど)には雇用契約と見做され解雇補償金の請求を受けるなどのリスクはございます。
(参考)従業員側は契約を途中解除することが通常可能
ご質問の要約
従業員から有期雇用契約を途中解除したいと言われました。これについて、何等かペナルティを負わせることは可能でしょうか。
カイプロ専門家の回答
有期雇用契約の途中での解除について、従業員側が解除する場合には自己都合退職となります。この場合は無期雇用契約での自己都合退職の際と同様に解雇補償金の支払いは不要となります。
本来は契約上規定した期間の労働をしないことになるため、違約金等の請求も可能ではありますが、有期雇用契約に違約金請求について明記していない限り実際の請求は難しくなります。
また、違約金請求について記載をしている場合でも支払い能力などの問題で実際の回収は難しい場合が多いと考えられます。
(参考)会社側が契約を途中解除することは通常不可
ご質問の要約
会社都合で有期雇用契約を契約期間の途中で解除することは可能ですか?
カイプロ専門家の回答
会社側が懲戒解雇などではなく会社都合で解除する場合には解雇補償金の支払いの他、残りの期間分の給与補償を求められる可能性が考えられます。
(参考)有期雇用契約の試用期間設定
ご質問の要約
有期雇用契約でも試用期間を設定することは可能ですか?
カイプロ専門家の回答
可能です。
ただし、有期雇用契約で試用期間がある場合、契約解除の通知の取り扱いについて無期雇用契約と同様に取り扱われるため、試用期間中に契約解除する場合であっても1賃金期間前の事前通知(または代わる予告手当の支払い)が必要です(労働者保護法17条2項)。
以上となります。
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