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本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

回答者:JGA 坂田(タイ税務・BOI専門家)
TNY Legal 永田(弁護士・弁理士)
Kaipro 西川(公認会計士)

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※本内容は執筆時点(25年6月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

タイにおける減資手続き、ルールの概要

ご質問の要約

タイにおける資本金の減資手続き、ルールの概要を教えてください。

カイプロ専門家の回答

1)手続きの概要

減資ついて、タイ民商法典の規定により以下の手続きが必要です。

  • 株主総会の特別決議(1224条)
  • 14日以内の減資にかかる決議の登記(1228条)
  • 全資本の四分の一未満に減資することはできない(1225条)※1
  • 債権者に対する文書での通知・新聞公告(1226条)
  • 債権者からの異議の場合の弁済等(1226条)

上記の債権者からの異議がある場合、当該債権者への債務を弁済するか、何らかの保証・担保等を提供しなければ減資ができません(1226条3項)。当該弁済等を行うか、または異議がなければ、債権者への通知から30日間の異議申立期間の経過後に定款変更等の登記を行います。※2

※1:全資本の3/4の額までの減資が可能、3/4を超える額の減資は不可の意味。
※2:異議申立期間は過去の法改正により3か月から30日間に変更。

(2)その他の規制・ルール

タイにおける減資は、株式の額面を引き下げる方法、株式数を減らす方法のいずれかを選択します(1224条)。

また、減資とともに株主へ金銭の払い戻しを行う方法(いわゆる有償減資)と、払い戻しを行わず会社の剰余金として計上する方法(いわゆる無償減資)のいずれも可能と考えられています(後述)。

BOI企業の場合、最低資本金を下回る減資は不可

ご質問の要約

当社はBOI企業ですが、減資をする際に特に気を付けるべき事項はありますか。

カイプロ専門家の回答

BOI企業の場合でBOI奨励証書上の最低資本金の設定がある場合には、その金額を下回る減資はできません。これに関連して、BOI企業が減資を行う場合には商務省への登記以外にBOIへの届出が必要です。

有償減資にかかる源泉徴収税

ご質問の要約

資本金を減資する際、利益剰余金がある場合には源泉徴収税15%かかると聞きましたが、本当でしょうか?

カイプロ専門家の回答

タイ歳入法典に基づき、

  • 株主への金銭支払いを伴う減資(有償減資)の場合で、かつ
  • 会社に留保利益(剰余金)がある場合

減資によって払戻される金額のうち留保利益の金額まで、利益の払い戻しとみなされ15%の源泉税の対象となります。(払い戻し額が留保利益の額を超える場合には、その超える部分については源泉税の対象外となります。)

なお日本への配当に対する源泉税は日タイ租税条約により10%となるため、留保利益がある場合には配当を先に行っておくことで税金負担を減らすことが可能です。

無償減資も可能

ご質問の要約

いわゆる無償減資(減資は行うが、減資額は株主へ払い戻さず、会社に剰余金として計上する)は法律上可能でしょうか。

カイプロ専門家の回答

民商法典上、減資に際して資本の払い戻しを行う必要があるとは定められておらず、また資本の払い戻しをしないことも明文上禁止されていません。

また、歳入局の決定No.KT0706/4375(กค0706/4375)では、株主への払い戻しを伴わない減資は通常のケースであると述べられています。

またこれは公開会社のケースであり非公開会社の減資とは異なるケースですが、タイ証券取引所(SET)のウェブサイトでは「株主への払い戻しがある場合は追加情報をSETに通知しなければならない」とし、払い戻しが不要なケースがあることを前提とした記載となっています。

加えて、DBDオフィサーからは「原則として株主の利益保護のため、株主への払い戻しを行うべきである。もっとも、無償減資が赤字(※累損の意味と考えられる)を解消する目的であれば、それは会社の事業を継続するためであり、最終的には株主の利益となる。また、減資は株主自身の特別決議が必要であり、見返りを得なくともよいという株主の同意が得られている。そのため、無償減資(減資するが資本の払い戻しは行わない)は合法である。」との見解を得ています。同様の見解はDBDの法務部門の担当者からも得ています。

以上から、タイの法律上、タイにおいて無償減資は可能であると考えられます。

もっとも、法律上減資の方法が明記されておらず、またDBDのオフィサーの裁量は広いと考えられることから、DBDオフィサーによっては登記時に異なる判断をなされる可能性があります。そのため、実際に無償減資を行う場合には事前にDBDオフィサーへ実行可否等の確認をすることをお勧めします。

特定株主のみの減資も可能

ご質問の要約

減資の際、特定株主(例えば日本の親会社)のみ減資することは可能でしょうか?

カイプロ専門家の回答

民商法典第1224条は、「株式会社は株主総会の特別決議に基づき、株式の額面を減らすことにより、または株式数を減らすことにより減資することができる。」と規定しています。また、法律上、減資に際して、各株主の持株比率に応じて株式数を減少させなければならないとは定められておらず、特定の株主の株式数を減少させることも禁止されてはいません。

したがって、特定株主(日本の親会社)のみ減資することも法的には可能であると思われます。

もっとも、DBDオフィサーからは、このような特定の株主の減資について、減資の対象となる特定の株主の同意書がない場合は、DBDでの登記手続きが拒否される場合があるとの回答も得ています。そのため、減資後のDBDへの登記時においては、特定の株主(日本の親会社)の署名入り同意書を用意しておく必要があるかと思われます。

なお、法律上、減資の方法について詳細内容が規定されていないため、減資に関してDBDオフィサーの裁量に委ねられる部分が大きいと考えられ、各DBDオフィサーによっては異なる手続きが要求される可能性もあります。

以上となります。

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