カイプロの西川です。月5,500THBで会計士・弁護士・社労士などの日本人専門家にいつでも気軽に相談できる顧問サービス「カイプロ」を運営しています。(詳細はこちら

本サービスへご相談のあった内容から、広く皆様に知っていただきたい内容を共有いたします。
本内容が皆様の会社運営の一助となれば幸いです。

回答者:BM Accounting 長澤(社会保険労務士、米国公認会計士(inactive))

長澤さん写真

※本内容は執筆時点(23年11月)のものです。
※本内容は顧問サービス「カイプロ」ご契約者様へ提供した内容のうち、一定期間経過したものを利用しています。

労働組合・労働福祉委員会の概要

ご質問の要約

タイにおいて、労働組合と労働福祉委員会が存在すると聞きました。その役割、概要等について、ご教示いただけますでしょうか。

カイプロ専門家の回答

労働組合と労働福祉委員会の役割と要件は、労働関係法において以下のように規定されております。

◆労働組合(労働関係法98条)
(1)組合員の労働について要求書を提出、交渉、合意、および仲裁判断を受けること。使用者または使用者委員会と合意
(2)労働組合の規約の範囲内で、組合員の利益になる活動
(3)求職に関する組合への助言
(4)仕事の管理および仕事に関する問題、課題を解決するための助言
(5)組合員の福利のため、または公共のために総会が適当と認める場合、金銭、財産を提供すること。
(6)労働組合の規約に定める金額の加入費、組合費を徴収すること。

<要件>
労働関係法に基づき10人以上の発起人が必要。労働局に労働組合規約案を提出し、許可を得る。労働組合の結成にあたり、結成・参加する労働者を不利益に扱うことは不当労働行為にあたる。

◆労働福祉委員会(労働関係法50条)
(1)労働者の福祉、福利厚生
(2)労使双方にとって有益となる服務規程の提案
(3)労働者の苦情の審議
(4)事業所における協調、紛争の解決

<要件>
50人以上の労働者を雇用する企業で設置が必要となる(従業員側が望まない場合でも法的に会社として設置義務がある)。少なくとも5人以上の委員会を設置する。3ヶ月に一度以上開催し、従業員の福利厚生等について会社と協議、意見の提出を行う。

実務上の相違点として、労働組合と労働福祉委員会の違いはストライキ権の有無があります。労働組合はストライキ権を持ちますが、労働福祉委員会はストライキ権を持ちません。

労働組合の加入条件

ご質問の要約

労働組合の加入条件を教えてください。

カイプロ専門家の回答

15歳以上である従業員は加入資格があり、原則として管理監督者を除いて加入が可能となります(管理監督者は管理監督者のための労働組合に加入可能です)。

組合員の確認は不可、組合員数の確認は可

ご質問の要約

労働組合に関して、組合員か否かの確認は可能でしょうか。

カイプロ専門家の回答

労働関係法及び関連法令では、労働組合加入者の一覧等を開示する労働組合側の義務または使用者側の請求権については規定されていません。そのため、使用者が労働組合の代表に労働組合加入者の一覧等の開示を請求することは可能ですが、実際に開示するかどうかは労働組合側で判断することとなります。

なお労働組合員数の確認については、13条に基づく労働条件改訂の要求書の適用要件として組合員が従業員の1/5以上であることがあるため、労働関係法15条に基づき、労働局の担当官に労働組合員数の確認調査を要請することが出来ることとなっています。

労働組合員である有期雇用契約者の取扱い

ご質問の要約

有期雇用契約の社員も労働組合に加入可能なのでしょうか。

可能の場合、有期雇用契約社員については契約書に雇用条件の記載がありますが、雇用条件は雇用契約書が優先されるのでしょうか。それとも、会社と労働組合で合意している雇用条件協約に従うのでしょうか。

カイプロ専門家の回答

有期雇用契約の従業員について加入不可とする規定はありませんので、加入は可能となります。

この際、会社と労働組合で合意する雇用条件協約は就業規則や個別の雇用契約に優先するため、雇用条件はこれに従うことになります。ただし、個別の雇用契約の方が従業員に有利な場合には個別の契約に従うことになります。

管理監督者に関する取扱い

ご質問の要約

マネージャーは労働組合に加入可能なのでしょうか。弊社のマネージャーが労働組合のストライキに参加をしていることが確認されたため、伺っています。

加入不可の場合、活動に参加している者に対してどのような対応が可能でしょうか。

カイプロ専門家の回答

労働関係法95条で労働組合の加入は一般従業員のみに限られ、管理監督者(いわゆる人事権を持つ場合に通常該当)は従業員の労働組合には加入は出来ないこととされています。(ただし、管理監督者は管理監督者向けの労働組合に加入が可能です。)

労働組合員ではない方が労働組合員のみが免責される不法行為(ストライキなど)を行う場合には、免責されずに貴社は民事・刑事上の訴追を行うことが可能です。

労働組合の会計監査

ご質問の要約

日本では、年1回の労働組合の会計監査と組合員への公表が義務付けられていますが、タイにおける取扱いを教えてください。

カイプロ専門家の回答

タイにおいても日本と同様に毎年1回労働組合の財源や使途などについて会計監査を実施し、組合員へ公表する必要があります。(労働関係法の第108条)

以上となります。

カイプロでは、月5,500THBで会計士・弁護士・社労士など複数の専門家に相談可能な顧問サービス「カイプロ」を提供しています。(詳細はこちら

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